わたしと納豆ごはん

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【全部自作】藁と黒豆で、黒豆わら納豆を作った話

「来年の事を言えば鬼が笑う」と言いますが、年始早々、昨年の年末の話をすれば鬼はどうするでしょうか?

その年末の初旬、このようなものがわたしの目の前にありました。

自家製の黒豆の画像

黒豆大豆です。

こちらは、わたしの父が趣味でやっている農園でできた黒豆。

と申しましても、父はすっかり高齢。最近ではわたしも手伝ったりしています。この黒豆も苗植えや収穫を手伝いました。

その報酬としてもらったのが、これです。

それと、こちら。

自家製の稲の画像

稲です。

こちらは、母が趣味で何となく種から育て、成長し実った稲です。

と申しましても、目を出した後はほぼ、ほったらかし。代わりにわたしが水だけはあげ、成長したものです。ある意味よくここまで育ちました。

この2つが、目の前にあります。

これら2つがそろえば、何を思いつきますか? そう、思いつくことはひとつです。

そうです納豆です。

ご存知のとおり、納豆は昔はわらを束ねて中に大豆を入れた「藁苞わらづと」で発酵していたもの。藁に自然に自生してる枯草こそう菌(納豆菌)によってできるのです。

それを作れるモノが目の前にあるのです。作らないわけにはいきません。

今回は、わたしが初めて作ってみた全部自家製の黒豆わら納豆の話です。

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豆の選別と藁苞作り

まず豆の選別をしました。

自家製で、あまり手をかけずに育てた黒豆です。虫食いやキズがあったり、粒の大きさだってまちまち。

そこからキレイで粒がそこそこ大きい大豆を80gほど選別しました。

選別した黒豆の画像

これを水に浸けるのですが、つける時間は「一晩」か「一日」のどちらのようです。

藁はもうないので失敗はできません。豆がやわらかくなるよう一日つけることにしました。

この間に藁苞を作ります。

藁は成長がイマイチで、長さはそれほどなく、長さ自体も藁ごとでまちまち。

ネットで書かれている作り方のように「真ん中で縛って折り曲げて」という風には作れません。

なので梳いてそろえたあと、両端を適当な所で縛り、余分なところをカットしました。

できた藁苞がこちら。

作った藁苞の画像

長さが30を軽く超える、大きめの藁苞になりました。和歌山の美野町真国地域の藁苞納豆の50cmほど大きくはありませんが、少し大きいかなという程度の藁苞です。

端をくくるのも藁にしましたが、これがうまく結べません。この段階では結べることができたのですが、結局は後半で取れてしまいます。

取れた後は輪ゴムを使ったのですが、最初からそれにしておけば楽だったかもしれません。

ちなみにできてた稲穂は取った後ちゃんと精米しました。量少なくデキも悪かったのですが、ちゃんと胃袋に収めました。

発酵の準備

藁苞の後は発酵させる装置の準備です。

いろんなモノや方法がネットにはあります。その中で「家や近所にあるもの」で「簡単」で「成功する可能性が高い」ものを作ることにしました。

それが、こちら。

手作り発酵器の画像

赤いものは「電気あんか」です。

電気あんかとは簡単に言えば「ゆたんぽ」のようなもの。これをふとんの中に入れれば、朝まで足がぬくぬくです。

かなり昔のもので、今は使っていません。なので、今回の保温のための道具としてはちょうどいい。

壊れてないかだけが不安でしたが、確認したところ温かくなったので、これを使う方向で決まりました。

発泡スチロールは近所のスーパーでもらってきたものです。ちょうどいいものがあって良かった。

画像は電気あんかを真ん中に置き、空いた周りに丸めた新聞紙をつめたものです。この後、電気あんかの上に直接藁苞がつかないほうがいいかと思いタオルをひき、さら丸めた新聞紙を箱いっぱいにつめておきました。

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納豆を煮て、藁苞につめる

ここから翌日です。

大豆も一日がたち、十分水を吸っています。

煮る工程へと入るのですが、これもいくつか選択肢があります。

昔ながらの方法で言えば、3時間ほどかけてコトコト煮るという作業になるのですが、いかんせん年末、そのような時間はありません。

なので圧力釜を使用。調べたところ蒸煮がよいらしいのですが、蒸煮用の道具がなかったので煮ることにしました。

ちなみにわたし、圧力釜を使うのはこれが初めてです。

水に浸けていた黒豆を、その黒くなった水ごと釜に投入。沸騰後20分ほどかけて煮ます。

この時間もまちまち、というか圧力釜の種類によって異なります。使った圧力釜は古いタイプだったのですが「大豆を煮るのは20分程」とちゃんと書かれていましたので、それに従いました。

その間に別の鍋で前もって沸騰させたおいた熱湯に藁苞をつけて熱消毒。

藁には納豆菌以外にも様々な菌がいます。それを消毒するために行う作業です。納豆菌自体は熱に強いので大丈夫とのことです。

ですが、まるまる一本つかるような長さではないので、半分づつ✕2本を各2~3分ほど消毒。あと成功の確率を高めるために、藁苞の大豆の中に入れる藁「仲人さん」も一緒に消毒。

これら作業が終わる頃に20分とになったので、圧力釜のフタを開け、豆のやわらかさをチェック。

指で押したら簡単に潰れました。合格です!

それを素早く藁苞につめます。ここからは時間との勝負。

なので、写真をとる暇がありません。この工程で一枚も写真がないのは、そのためです。

藁に大豆をつめ、仲人さんも中に入れた後、新聞紙で包みました。どうやら発酵するときは水が大量に出るという話なので、その対策です。

ですが、納豆菌が活動するのには空気が必要。なので藁苞の片側は表にあらわにし、呼吸できるようにしました。

さらに新聞で包んだ部分をビニール袋でつつみ、作業は完了です。

発酵

できた藁苞を発酵器に入れます。

発酵器にいれた藁苞の画像

これにさらに丸めた新聞紙で全体を埋め、保温性の高い布(ユニ○ロの古いフリース)をかぶせ、上にフタをそっとおきます。

発酵させている画像

日中はこのままで、気温が低くなる夜には温度が下がらないよう毛布のような布をさらに被せ、温度が下がらないようにしました。

途中何回か空気を入れたり、温度をチェックしながら、一昼夜経ったものが、こちら。

保温性を高めるため布を被せた発酵器の画像

多くのサイトでは1日ほど発酵させると書いています。できたでしょうか?ドキドキです。

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発酵結果

発酵器から藁苞を取り出し、チェックしてみます。

それが、こちら。

発酵直後の納豆 その1

藁苞はもうひとつあります。

発酵直後の納豆の画像 その2

いいんじゃないでしょうか!

白い部分は納豆菌が繁殖している証拠。ちゃんと粘りもあります。

2つ目には豆がつぶれているものがあります。豆がやわらかいのもありますが、あわてて強引に入れたが原因だと思います。

これを冷蔵庫に入れ、熱が冷めてから新聞紙で包み。

熟成のため新聞紙で包んだ藁苞の画像

冷蔵庫で1~2日ほど熟成させます。

完成が待ち遠しいです。

完成

できた納豆が、こちら。

熟成後の納豆の画像 その1

熟成後の納豆の画像 その1

どちらとも見た感じは悪くはありません。ちょっと水っぽい気がします。常温に戻してから熟成に入るところを、すぐに冷蔵庫に入れたからかもしれませんし、新聞紙やビニールなど、余分なものを被せすぎたせいかもしれません。

そして、その日の晩に藁苞から取り出した納豆が、こちらです。

2日半ほど熟成させた納豆の画像

熟成期間は2日半ほど。混ぜた画像が、こちら。

2日半ほど熟成させた納豆を混ぜた画像

見て分かるように、大豆がかなり柔らかいです。煮すぎですね。

次の日、つまり熟成3日後のものが、こちらです。

3日熟成させた納豆の画像

混ぜたものが、こちらです。

3日熟成させた納豆を混ぜた画像

これで一本半は食べてしまいました。残りは正月用にとっておきます。

そして、今年の正月の朝に取り出したものが、こちら。

数日熟成させた納豆を混ぜた画像

写真では分かりにくいですが、発酵が進んでいます。

薄々はそうではないかと思っていたのですが、やはり発酵不足だったようです。なぜかと言うと、この納豆が一番美味しかったからです。

混ぜた画像はかっこつけて一粒だけ箸で持ち上げて撮影したところ、全部ひどくブレたのでありません。やはり、かっこつけるものではありませんね。

感想など

今回の経験や感想をまとめると、このような感じです。

  • 豆非常にやわらか。豆味あっさり。香りはふわり。後味すっきり。
  • 香りは臭くはない。発酵不足もあるが、藁の香りと、独特の発酵したよい香りがする。
  • 総評的には不味いわけではないが、美味しいわけではない。
  • 糸引き、粘り共に弱い。
    • 正月のものは粘りはそんなに悪くなかった。
  • わさび、めんつゆ、塩、醤油いろいろ試すが、一番は「かき醤油」。
    • ほんと劇的に美味しくなる。
  • 作るだけならそれほど難しくはないと思う。
    • ただし「毎回、美味しく作る」となるとたいへん。やっぱり納豆職人はすごい。

けっきょく最終的には餅は餅屋よろしく、「納豆屋さんてすごいわ」という感想しか出なかったです。

手作りとしては及第点といった感じでしょうか。欲を言えば、もう少し美味しくできてほしかった。

とはいえ、今回の経験は非常に楽しかった。一度は作って見たかった藁納豆。話は聞いていますが経験はしていません。ほんとに藁からできるのか是非とも見てみたかった。

そして、作ること自体が非常に楽しかったです。今回ので欲も出て、「今度は美味しく作ってみたい」などと研究心もくすぐられます。

機会があればまた作ってみたい、なんて思いながら今回は締めたいと思います。

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