わたしと納豆ごはん

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関西のロングセラー納豆、ミツカン(旭松食品)の『なっとういち』

気がついたらそこにあって、それが普通だと思うことがあります。

で、転機を気に引っ越したりすると、その場所での普通が、実はそうじゃなかった…。なんてこと、ありますよね?

特に関西と関東ではようあるそうです。うどんのつゆの違いや、うなぎのさばき方。そして納豆です。

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今までほんと分からなかったのですが、関東と関西では納豆棚が違います。

例えばくめ納豆の「秘伝金印」。鑑評会にて優秀賞を受賞しているのですが、関西ではなかなか見つかりません。というか無い。わたしの活動範囲にはありません。食べてみたいのですけど。あと「金の熟成」も見当たらない。

そして、その最たる例が『なっとういち』という納豆です。

こちらの納豆、関西では必ずといっていいほどスーパーの納豆棚にありますが、関東ではほぼありません。それもそのはず、関東から撤退していますからね。

今回はこの「なっとういち」をご紹介したいと思います。

ミツカン(旭松食品)「なっとういち」

ミツカン(旭松食品)「なっとういち」

「関西人は納豆が嫌い」

今やこれは風評だと言っても過言じゃないのですが、わたしの小さい頃に住んでいた地域では、納豆はあまり食べられていなかったような記憶があります。

当時の同級生は「納豆は知っているけど、食べたことはない」というのがほとんど。わたしん家に来て初めて食べたと言っていました。

大阪の納豆屋さんのひとつ、エイコーさんのエピソードでも社長が子供(40年以上前)のころは大阪で納豆は「腐った食べ物、臭い食べ物」の代名詞みたいな扱いをされていたという話です。

参考記事:納豆屋エピソード/エイコー食品 公式サイト

まあ阪神タイガースの応援する理由が東京への対抗心からいう人も多かったように感じますので、関東の食べ物というイメージが強い納豆もそんな理由で人気がなかっただけのかもしれません。

そんな関西の納豆事情に風穴を開けたのが「なっとういち」です。

当時、おかめ納豆のCMが流れていましたが、それでも納豆が広まらなかった関西。それを変え、関西に納豆を普及・定着させた功績は非常に大きい……のかもしれません。

この理由は2つ。ひとつは関西芸人を起用したCM*1。それと関西人好みに作られた納豆だと思います。

食べやすい極小粒と、関西人好みのたれ。そしてなんといっても納豆独特のあの臭いが非常にひかえめというのが、最大の要因だったと思います。

当時、飽和気味だった納豆業界で、まだ消費が芳しくない関西に目をつけ、関西人好みの納豆を研究・開発し、販路を拡大した旭松さんには敬意を表さずにはいられませゆん。なにせ本社を大阪に移したほどです。

このとき生まれたにおいひかえめの「なっとういち」は関西で今でも売られ続けているロングセラー商品です。

残念なことに、今は納豆事業をミツカンさんに譲渡し、製造工場も変わっているとのことなので、見た目は同じでも以前とは違う納豆になっているのですが。

参考記事:旭松食品 - Wikipedia

それでも、どこよりも先駆けて生まれた「においひかえめの納豆」は納豆の臭いが苦手だった層にも受け入れられ、今ではそのほとんど(特にメジャー系)の納豆が「においひかえめ」のものになっています。

そういった意味では、納豆業界自体も大きく変容させた、歴史的納豆と言っても過言じゃないはずです。

ちなみに当時のわが家では、中・大粒でにおいもがっつりある納豆を、ネギ・からしをたっぷり入れ、卵を混ぜて食べるのがスタンダードでした。なので、においひかえめ系は敬遠されていました。

ですが時代とともに、ひかえめ系の納豆はどんどん勢力を伸ばし、逆に昔ながらの「においをひかえていない納豆」を見つけるほうが困難になったことを強く覚えています。

そんな昔話はここまでにしておき、関西の納豆として外せないものの1つとも言える「なっとういち」。その中身を見てみます。

「なっとういち」の「押すだけプシュッ!と」のたれからしの画像

中にはたれとからし。ミツカンの発明品、袋を押すことでたれやからしがプシュッ!と出る「押すだけプシュッ!と」です。

では納豆にいってみます。

「なっとういち」の納豆の画像

極小粒の大豆です。においはもちろんひかえめ。

箸を入れてみると、思ったよりやわらかい。容器に豆は機械で入れているはずでしょうから、手で入れるような柔らかさは本来出ないはずです。

なのに、このように柔らかめで入れれるということは、機械の性能が良くなってきているということでしょうか?

で、個人的に思ったのですが、この「におわなっとう」はミツカンさんの最新の生産ラインで作られているのではないでしょうか?

ミツカンさん自慢の「押すだけプシュッ!と」も入っていますからね。あながち間違ってはいないかと思います。

たれの味は、個人的にはいつもの味。よく食べ親しみある、納豆のたれの味です。すこし甘みある、かつお風味でだしのきいた関西人好みのタレ。

袋の「押すだけプシュッ!と」の仕組み上、たれには少しだけとろみがあります。これも見聞きしている情報通りです。

プレーンの納豆をそのまま食べてみると、食べたタイミングもよかったのか、ほどよく旨味ある味。豆はほどよいやわらかさで、粒は極小粒。

全部混ぜて食べてみます。たれと納豆の味が合わさり、安定した美味しさを出します。正直、同社の「金のつぶ におわなっとう」より好みの味です。関西育ちだからでしょうね。

低価格なのに安定した味。それがこの納豆の強みなのかもしれません。

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*1:この後おかめ納豆も関西芸人を起用した、あの代表作とも言えるCMが大ヒットし、関西でも有名になりました。