わたしと納豆ごはん

納豆、Web、雑記など

江戸の味香る老舗の絶品納豆、天野屋の『柴崎納豆』

「江戸に烏の鳴かぬ日はあれど、納豆売りの来ぬ日はなし」

とても有名なこの語句は、和歌山藩士が勤番の折に書き記した「江戸自慢」の一節です。

江戸時代の東京こと江戸では、納豆が朝の定番メニューだったというのは言わずもがな、現代でも関東など多くのの地域で定番メニューです。

スポンサーリンク

当時の販売方法は納豆売り、つまり移動販売。江戸の人々は朝にご飯を炊き、そこに納豆売りが「なっと〜、なっとなっとぉ〜」とやってくる。せっかちな江戸っ子は炊きたてご飯に納豆と辛子をたっぷり乗せ、それをささっと混ぜ食べる…。

そんな粋な江戸の朝風景を想像します。

まあ江戸時代は納豆汁のほうがよく食べられてたみたいなのですけどね。

わたしは、この江戸の人々にも感謝しております。

なぜなら、今現在、納豆をこうして美味しく食べられるのは、この方々のおかげかもしれないと、思ったからです。

まず、おそらく初めて納豆をご飯にかけて食べたのは、江戸の人々だったと思うのです。

昔は納豆汁がメインでした。それが今のように納豆だけでご飯のお供として食べることが多くなった時期は、実際のところはっきりと分かっていませんが、少なくとも江戸末期頃は納豆とご飯で食べていた、という話があります。

あと明治初期、文明開化の時代、食にも西洋の文化が入ってくる中でも納豆が残っていったのは、やはり江戸の人々のおかげだと思うのです。

これは朝の定番メニューとして納豆が愛してくれたのはもちろんのこと、納豆売りの存在も大きかったと思うのです。

これは自分で納豆を作る手間を省け、同時に忙しい朝に手っ取り早くパワーの源、栄養補給ができるというのもあったんだと思うのです。

が、さらに思うのは、江戸は当時、世界有数の人口があった大都市。これほどの大都会になると納豆売りの競争も激しかったと思われます。

それはつまり、競争のため味も切磋琢磨されるということ。つまり、おいしい納豆が多かったんじゃないかと考えています。

つまり江戸、東京の人々にとって、朝の定番「納豆ご飯」は美味かった

この朝の習慣という文化と、納豆ご飯そのものの美味さ、これが西洋の文化に押し流されることなく今日まで納豆が食べられている要因のひとつで、

今、こうして納豆を美味しく食べれるのは、江戸の人々の存在は小さくなかったんじゃないかな?などと考えた訳です。

わたしがなぜ、こんなことを考えてたかと言えば、この間、このような納豆を食べたのです。

東京神田で歴史ある老舗の納豆。神田明神名物としても名高い、あの納豆です。

今回の納豆は天野屋さんの「柴崎納豆」です。

天野屋「柴崎納豆」

天野屋 柴崎納豆

東京に江戸時代から続く老舗が作っている納豆がある。そんな話は聞いていましたが、まさか大阪で買えるとはびっくりです。

天野屋さんは甘酒で有名なお店。そして納豆製造では東京で一番の老舗と言われています。

ちなみに裏はこんな感じ。

柴崎納豆の裏面の画像

ここに柴崎納豆の由来が書かれています。そこだけ拡大した画像がこちらです。

柴崎納豆の裏面の文字の画像 その1

書かれているように柴崎納豆の前身の「金含豆(こんがんず)」が、神田明神が創建された天平二年頃からあったとしたら、天平二年は西暦730年なので、すんごい昔です。すごい歴史だ!

天野屋さん自体は1846年(弘化3年)創業。もう少しで黒船来訪(1853年)です。

あと「大粒納豆の召し上がり方」なども書いています。

柴崎納豆の裏面の文字の画像 その2

では袋から取り出してみます。

柴崎納豆の袋の中の容器の画像

長方形の容器にからしが2つ。たれはありません。

続いて開けてみた中は、こちら。

柴崎納豆の容器を開けた画像

そして納豆がこちらです。

柴崎納豆の納豆の画像

写真でも分かるようにトロっとしたトロ肌の納豆。ちょっといつもの納豆とは違う感じがします。

少しそのまま食べてみます。

豆味かなりしっかり。食感もしっかり。食べている感がある固さです。後味すっきり。苦味や酸味もありますが、気にならない程度です。

香りはすっきりした感じの、ひなびた納豆の香り。ほのかに酸味な香りもします。

混ぜてみます。糸引きも粘りもしっかり。

とくに粘りがすごいです。驚いたのが、混ぜた後、少し時間を置いて再度箸を入れば、「サクッ、サクッ」と凍った雪を踏んだような音。ふんわりやわらかいスナック菓子を噛んだような音。

な、なんだ、これは…?すごい、こんなの初めてだ。

では、まず、納豆の半分程度にからしを全部入れて食べます。

……辛!

ツーンとくる辛さ。これ父親が好きな辛さだ(笑)

目が覚めるような辛さの後に、次々と舌に襲いかかる強い豆味。納豆の美味しさで畳みかけてくるようです。まさに味の豪雨。

美味しい。くせになる味。きっと江戸時代の人も、この目を覚めるような味を朝一に食べ、一日の始まりの活力にしたのだろう。中毒性がある味。

残り半分は塩などいろいろ試しながら食べてみました。最後は醤油とからしを少しづつ加え、味を整えながら。

うん、美味い。あつあつご飯に合う味。それどころか、なんかいろんな物に合いそうな予感がする味で、いろいろ試したくなるような、無限の可能性を感じてしまう味。

江戸時代の朝食はこんな感じだったのかもと、はるか昔に想いを馳せながら、美味しくいただきました。

たいへんおいしかったです。ごちそうさまでした。

www.amanoya.jp

スポンサーリンク